潜水士とは、「潜水器具を身につけて、水中で作業する人」のこと。
その潜水士たちの仕事は本当に魅力的で様々です。
本記事ではその潜水士たちはどのような仕事をしているのか。
さらに「潜水士の生の声」も盛り込みながら紹介していきます!
潜水士の役割
潜水士は水中での作業や調査、修理、救助など様々な仕事がある専門職です。
海や川、ダムが主な仕事場で日本全国で潜水士は活躍しています。
水の中で活動しているので目立たず、あまり知られていない世界。
だからこそ、「海猿」で取り上げられた時にはかなりの反響がありましたね。
潜水士として必要なスキル
どの潜水士にも共通しているのは、水の中で作業するということ。
当然水中では呼吸ができませんので、高度な潜水器材取扱いの技術が求められます。
さらに、潜水中のアクシデントに対応する潜水技術と冷静さ。
身体的に言えば、虫歯の治療痕がある方や耳抜きができない方は潜水はできません。
歯に関して言えば歯の中に空間があった場合、そこが気圧の変化に耐えられず、激痛が走ります。
耳抜きに関しては、体質的に抜けない、抜けにくい人が結構いるものです。
筆者も耳ぬきがしにくく「抜けにくい体質」でしたが克服しました。
その克服の仕方を別の投稿で書きますのでぜひみて見てくださいね!
潜水士資格=ダイビングライセンスではない!
よく勘違いしがちな「潜水士」と「ダイビングライセンス」どう違うのかまとめてみました。
潜水士 | ダイビングライセンス (Cカード) | |
受験資格 | 無 (但し免許交付は18歳以上) | 10歳〜 |
費用 | ¥8800- | ¥30000~50000- |
合格率 | 80%前後 | 90%前後 |
試験(講習)内容 | 筆記(40問 4時間 実技なし) | 座学・プール・海洋講習 |
どんな時に必要か | 潜水する「仕事」をするときに必要。 (=ダイビングインストラクターも必要。) | ダイビングするために、器材をレンタルする時。 また、ダイビング施設を利用する時。 |
簡単にまとめると、
器材を背負い、潜水を仕事とするなら「潜水士」、趣味とするなら「Cカード」といったところ。
潜水士が活躍する仕事
潜水士と言っても様々な仕事があります。
どの仕事も共通するのは水の中で仕事をするので非常に危険だということ。
そして、寒い冬でも海や川に潜り作業するので決して楽では無いということです。
そんな水を相手に仕事をしている潜水士にはどんな種類があるのか、見ていきましょう。
潜水士の仕事①:レスキュー
潜水士=レスキューというくらいの知名度。
水中の「人命救助」に特化した潜水士です。
どの潜水士も厳しい訓練を終了し、認定された方で構成されています。
筆者もこのレスキューダイバーを経験しました。
当時の訓練や潜水についての知識等も共有して行きたいと思いますので、他の投稿をチェックしてみてください!
海上保安庁
最も有名な海のレスキューをする潜水士。
あの海猿も海上保安庁の潜水士です。
海上保安庁の職員になった後に潜水士になるため2ヶ月の研修を終了し、潜水士として認定される必要があります。
- 沈没船や転覆船から潜水し、要救助者を救出することに特化する「潜水士」
- ヘリコプターとの連携に特化し、洋上の要救助者を救出する「機動救難士」
- ヘリコプターや潜水はもちろん、高度な知識や技術を併せ持ち、様々な海難事故からに対応できるスペシャリスト「特殊救難士」
に分かれ、どの潜水士も非常に華がありますね。
しかし、この海上保安庁の潜水士は全体の職員の約2%。
この潜水士を目指して海上保安庁に入庁する人も多いでしょうから、狭き門です。
しかし、どうせなら水難救助のTOPで潜水士をやりたい!という方にオススメです。
消防
東京消防庁または各市町村の消防士になった後、潜水研修を終了し認定される必要があります。
この消防で注目したいのは、各市町村によって「潜水士のあり方が変わること」。
東京消防庁のように「水難救助隊」として所属する人もいれば、「救助隊」や「特別救助隊」として陸上の救助(火災や事故等に対応する隊)も担当しながら、水中の救助も担当するという態勢をとる市町村もあるようです。
地方公務員であるので、地域密着型で潜水士をやってみたい!という方にはオススメです。
海上自衛隊
海上自衛隊に入隊後、基準をクリアした者のみ潜水課程に入校し、終了後に現場に出るそうです。
その中で、
- 20mまでの水中で船底調査や遺失物捜索などの作業を行う「スクーバ潜水員」
- 50mまでの機雷や爆発物を処理する「水中処分員」
- 飽和潜水で海底に沈没した船等を救助する「飽和潜水員」
に分かれます
ただでさえ潜るだけでも危険だというのに、海上保安庁や消防に比べ、水中処分員や飽和潜水員はすごく危険度が高い職種です。
しかし、飽和潜水は他業種ではできない潜水。
こういったものに興味がある方にはオススメです!
警察
各都道府県によりますが、警視庁や道府県警察に入庁後、機動隊の研修を終了する必要があります。
潜水だけでなく、機動隊として自然災害時の派遣やテロ対策等、「オールマイティーに活躍する潜水士」。
潜水活動の内容は人命救助はもちろん、遺失物捜索等の作業も行います。
人命救助だけでなく、様々な仕事、技術を身につけたい方にはオススメです!
潜水士の仕事②:建築
水中の建設事業に携わるダイバーです。
海や川岸で建設車両や工事しているのを目にしたことがあると思います。
その水中部分を担当しているのがこのダイバー達。水中では溶接や防波堤の基礎の築造など様々。
アーク溶接や電気工事士の資格も併せ持つ潜水士もいて、暑い夏も寒い冬も長時間潜水しています。
海の上の美しい建造物や、川の氾濫から街が守られているのはこの方達が水中で作業してくれているからなんですね。
潜水士の仕事③:海洋、環境調査
海底の環境調査や計測を行っています。
開発を行う際、環境に影響がないかどうかを調査する潜水士。
水や土壌の状態がその開発をして大丈夫なのかを調査しています。
開発を行う際だけでなく、震災等の自然災害の後の海底調査も行っています。
他には海や川、湖等を研究している研究者も潜水していたりもするそうです。
海の生態系や環境を保護・研究するのも潜水士の重要な役目なのですね。
潜水士の仕事④:サルベージ
サルベージとは、海難事故にあった沈没船を救助したり引き上げることです。
沈没した船の救助や撤去は潜水士があってできること。
座礁した船を離礁させたり、船底に異常があれば修理作業等もする潜水士です。
潜水士の仕事⑤:インストラクター
一番接する機会の多いインストラクター。
私たちにダイビング技術を教えてくれたり、一緒に潜ってくれる潜水士。
レジャーダイビングで一緒に潜ったり、Cカード取得のために講習を受けたこともあるのでは??
この方達もたくさんダイビングをして、インストラクターの資格を持つスペシャリスト。
初心者の方を安全に、楽しくダイビングさせるのは難しいことです。
有事の際にはレスキューもしなければいけない、ある意味レスキューダイバーの技術も兼ね揃えた潜水士なのかも知れません。
潜水士の仕事⑥:漁業
第1次産業の漁業を行う潜水士です。
浅い海にいる生き物だけでなく、かなり深いところに生息する生き物も採取します。
よく間違うのが「海人・海女」さん。
この方達は潜水器材を使用せずに素潜りで潜水するので、潜水士資格は必要ないそうです。
潜水士の仕事⑦:水族館職員
水族館の水槽内で作業している人を見かけると思います。
その方も潜水士資格を持っています。
水槽の清掃だけでなく、来場者へのサービスも行っているそうです。
潜水士の仕事⑧:カメラマン
水中で潜水器材を使用して写真や映像を撮る方は潜水士資格が必要になってきます。
人が普段行き着くことのないところをカメラに収めるのは、非常にやりがいの感じられる仕事ですね!
潜水士経験者「生の声」
実際にこれらの仕事をしてきた潜水士はどのように思っているのか。
実際の声を聞いてみました!!
フリーランス水中作業ダイバー:「とにかく冬が地獄…」
とにかく冬が寒いです。
冬用のドライスーツやフードはもちろん。
ドライスーツ内に防寒衣として薄めダウンジャケットを着ていますがそれでも寒い…
海より川の潜水の方が寒いですね…
しかも、潜水の世界は結構年配者が多く、みんな冬は潜りたがりません(笑)
救助系ダイバー:「訓練がめちゃ辛いけど、モテます(笑)」
憧れを持って潜水士過程に行きましたがめちゃくちゃ辛かった。
訓練の辛さはご想像通りという感じです(笑)
潜水過程が終わっても一人前になるまでの訓練はかなり辛い。
長時間息を止めたり錘を持ちながら立ち泳ぎをしたり…
正直もう戻りたくないです(笑)
ただ、周囲からの印象は最高に良いです。
潜水士してますって言えば必ず「カッコいい〜」と言われます(笑)
職場内でも数%しかいないので一目置かれる存在です!
建築系ダイバー:「目の前が見えない」
潜水するといって想像するのは青い水中の世界。
もちろんそういった世界もあるのですが、私が潜っていたところ(川の下流付近)は何も見えない。
水深10m付近になると昼夜問わず真っ暗で自分のライトで照らして少し見える程度。
そこに住む魚たちも自分のことを見えていないのか、よく体当たりされますよ。
閉所や暗所恐怖症の人はおそらくできない仕事なのかなと思います。
漁業系ダイバー:「目がよくなるケド…」
最初は見習いでどこに貝がいるとかわからなかったけど、やっぱり目は良くなりました。
普通の人より、水の中の目は確実にいいです!
その分、なぜか耳が遠くなった気がしますね。
職業病なのか私だけなのか、一応潜水で耳には負担がかかっているので因果関係はあるのかな?と思っています。
よく周りの人から声が大きいと言われます(笑)
救助系ダイバー:「精神的ストレスが…」
他の作業系の潜水士さんと違って、「水の中に人を探しに行く」という異常な仕事です。
潜って見つかったとしても亡くなっているケースが非常に多いのが現状。
私自身ここ10年弱の水難事故の現場で生きて助けを求めているのは1回だけ。
私らも要救助者のために、親族のために一生懸命に探してはいますが、視界が悪い中で探すのは非常に精神的ストレスが大きいです。
まとめ
潜水士の仕事を紹介してきました。
潜水士と言っても様々な職種があり、非常に面白いですね!
ですがこの仕事は危険と常に隣り合わせ。
その危険がある中でさらに業務をするという他業種では考えられない程に危険なもの。
私が現役の時も、「人の命の前に生きて帰って来い」と言われました。
そのための訓練は非常に厳しいものでしたが、潜水技術に自信はつきました。
皆さんも、「水の中が好き」「水の中で仕事をしてみたい」「自然の中で仕事をしたい」という方は潜水士を目指してみては??